馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

北野勇作『かめくん』『カメリ』

「絶対好きだって! 読めよ、ほんと読めよ!」 と、北野勇作作品をずっとオススメされ続けてたんだけど、やっとこさ手にした。もっと早くに読めばよかった。 『かめくん』あらまし かめくんは模造亀(レプリカメ)。万国博覧会場近くの倉庫で、特殊なフォー…

円城塔『プロローグ』

読み終わってから感想を書くまでに二週間経ってしまった。 われらが円城塔によるドトール放浪記旅行記日記愚痴集卒論私小説。 円城塔の本は、円城塔本人が告知してくれないので、基本的にはAmazonあたりで定期的に「円城塔」で調べて新作の刊行を知ることに…

円城塔『エピローグ』

読み終わってから感想を書くまでに二週間経ってしまった。 ついにきました円城塔オリジナル長編。 発売日に書店に足を運んで震える手で買ったんだっけ。それとも、お仕事があるから土日まで待って神保町で買ったんだっけ。読んでいる間の衝撃のほうが大きく…

円城塔『シャッフル航法』

表題の『シャッフル航法』は雑誌の『現代詩手帖』五月号に載ったばかりだったので、まさかすぐに書籍になるとは思わなかった。ずっと気になっていた『Beaver Weaver』などが収録。サイン会では生円城塔を拝顔できたし、インスペクト駆動小説のこともそのとき…

森奈津子『からくりアンモラル』

だいたい一年のあいだに見初めて買って、そのまま本棚の肥やしにしてたものをやっと読んだ。 ちょうど『MOUSE』を読み終えたところで『MOUSE』読後のこの心の空白を埋めるには同じようなアンモラルな本がよかろうと考えた故の選択は、どうやら正しかったよう…

牧野修『MOUSE』

ひとづてにオススメされた本ではあるものの、読後は自分で辿り着きたかったという思いが強い。背面のあらすじで確実に手に取っていただろうことがわかるのだからなおさら。 あらまし ネバーランドは子供たちの楽園である。そこにはドラッグをブレンドして体…

アレックス・シアラー『あの雲を追いかけて』

今日読んだ本は、アレックス・シアラー『あの雲を追いかけて』。すごく良い本で、読めてよかった、買ってよかったと思う。 お話の概要は、以下のような感じ。 太陽の周りに地球とは比べものにならないほど濃く厚い大気――空が覆い、その空に浮かぶ島々に人々…

前野隆司『脳の中の「私」はなぜ見つからないのか? -ロボティクス研究者が見た脳と心の思想史-』

久しぶりのブログ記事である。前野隆司『脳の中の「私」はなぜ見つからないのか?』をやっと読み終わった。 中断し、読み、中断しては読みで、初めて開いてからだと一年は経ってるかもしれない。じっさいの読書時間自体は数時間だろうけど。 さらっと紹介を…

ジョン・ボイド『エデンの授粉者』

著者はもともとSF書きではなかったらしい、とそう聞くとなんだか納得してしまった。 あらすじはこんな感じ。 惑星フローラには地球の植物と似た、しかし大層進化した植物が生息している。地球のランやチューリップ、その他もろもろの植物に似た植物が生え…

R.A.ラファティ『翼の贈りもの』

読んだのは一週間くらい前だけど、ひさびさに骨のある本だった。 SFということでクラークやイーガンのようなハードSFをイメージして臨んだところ、出鼻を挫かれてしまった。そんなためか、表題作に惹かれて買った本ではあるものの、表題作はそんなにピン…

なんとびっくりケツァール!(キヌバネドリ科)

『ドクター・ラット』(ウィリアム・コッツウィンクル著)を読んだ。 世界中で発生する、謎の衝動に駆り立てられる動物たちの顛末。あるいはある研究室でその秩序を取り戻そうとする一匹の気狂いラットの奮闘記。 最初の数ページを読んだあたりでこんなこと…

nanかでてきた

多分、ブログに書こうとしていたのではないかとおぼしき文章が出てきた。読んだ本の感想である。 多分、「6月」とか「7月」とか「8月」とかっていうのは2011年の6月、7月、8月をさしているんだと思う。 多分、下に行くほど古いんだと思う。 多分、上に追記し…

これはペンですか?

発売日当日(9月30日)に買って、読んだのは10月5日らへんだったと思う。 以下、読んだあとに書いた文章。 ========================= 円城塔『これはペンです』 読んだよ! 冒頭の一文は、絶対歴史にのこる。のこれ。 円城節がいつもどおり炸裂している。余…

ひさびさ。

ひさびさである。 これまでに読んだ本も一部、感想を書いてあるだけど、まあそれはまた今度。 今回はめずらしくマンガ。二冊ともすごかったので。 そういえば『ツノウサギ』ってここに書いてなかったかなと過去記事調べてみたけれどなかったのできっとTwitte…

我が家の世界の中心は、猫だ。

3日前に読んだ本です。 ポール・ギャリコ『猫語の教科書』 副題は『子猫、のら猫、捨て猫たちに覚えておいてほしいこと』 編集者の友人宅に届けられた、一見暗号ともみえる書類の束を翻訳したものだ。書いたのは猫で、しかも雌猫であるとのこと。解読をおこ…

MOS

たぶん今月3冊め。2冊目かな? どちらだかはわからない。 神林長平『言葉使い師』 よくよく考えたら、神林長平の作品を『敵は海賊』『戦闘妖精・雪風』以外で読むのははじめてなのであった。テーマも、文章も、星最大値。とてもすき。この短編集はお気に入り…

ディレイド・カンソー。

まさか一日で読めちゃうとは思いもよらなかったよ。今週の水曜に読んだ本。 今野敏『遠い国のアリス』 パラレルワールドもの。作中にフレドリック・ブラウン『発狂した宇宙』が登場する。「SFファンタジー・ロマン」と歌っていたけど比はSF:ファンタジ…

トースター焼きには最適の日々

本の上部を占める、待ち、そして焼けたトースターのパンを尻尾ふって食べ、眠る、そしてまた待ち……という犬のループ絵がかわいい非常に。 トーマス・M・ディッシュ『いさましいちびのトースター』 森の中の小さな別荘で暮らす電気器具たち。彼らの主人が二…

そう、まってるから。

今回は本、というよりは絵本かな。 伊勢英子『グレイがまってるから』 注意してもらいたいのは、「グレイ」の文字をみて買ったのではないこと。手にとってみて、表紙のシベリアン・ハスキーがとてもかわいらしくすてきだったので買ったまでだ。けれどちょっ…

仲の悪いあいつの作文

今回はハードカバーだよ! アレックス・シアラー『青空のむこう』 ひとことで言うと、語弊があるけど、主人公の男の子ハリーの死出の冒険物語。ハリーは姉とけんかして「ぼくが死んだらきっとすごく後悔するぞ!」といって家を飛び出し、トラックに衝突して…

歩行祭

毎度なぜか「おんだむつ」と読み違えてしまう恩田陸に初挑戦。 恩田陸『夜のピクニック』 舞台となる高校では修学旅行の代わりに、全校生徒が二日ほとんどを歩き通すイベント、歩行祭が行われていて、今年度で卒業の男女二人の主人公がそれぞれの歩行祭をま…

『しーずまりませチーーズ』

上に会わせて「侵害土気」とかタイトルつけようと思ってたけどやられた。 オーエン・コルファー『新 銀河ヒッチハイク・ガイド 下』 総評としては、上下巻にするほど長くなる話だったのかしらんと。ワンエピソードにかける分量がちょっと多すぎるかもしれな…

侵害土壌

期待と諦めを胸に読み始めた三部作の第六シリーズ! オーエン・コルファー『新 銀河ヒッチハイク・ガイド 上』 簡単に買った経緯を。たまたま紀伊國屋書店に寄り「あの本を買おうかなー」「ハヤカワエリアでぶらぶらしようかなー」などと考えながら河出文庫…

実射影平面の三次元空間へのはめ込みとか

進むほどうへえ。 円城塔『Boy's Suface』 Self-Reference ENGINEでおなじみ、円城さんの短編集。この本も聞いてはいたけど訳が分からなかった。後半に行けば行くほど。短編進めば進むほど。お話のなかがひっくり返って意味が分からない。っていうかこの本、…

無題

読み終わったのは先週の木曜日頃ですが、時間がうまくとれずこんなに経ってしまった。 C.W.ニコル『風を見た少年』 動物たちと言葉を交わし、その中で風を見ることを覚えた少年が、ある独裁国の革命に関わっていきそれを終わらせるまでの顛末のお話。 人間が…

十番目の惑星と騒がれてたなあ。

風邪ひいちゃったよー。 泉和良『セドナ、鎮まりてあれかし』 購入に至ったプロセスは割とはっきり覚えている。 いつものように、買う気もないのに最寄りの書店に入り、海外作家エリア(となぜか創元/早川がまとまっている)を物色しはじめ、背表紙のタイト…

Wish you were here.

大阪帰りの新幹線内で読んでました。 中村航『あなたがここにいて欲しい』 三編入った短編集。「青春恋愛小説」のうたい文句に惹かれ買った。僕はどうも、「青春」のキーワードに弱いらしい。 小さい頃に見たゾウとお城と想いその他を胸に抱えて、ヤンキーに…

決死の車避け

最近、結構読んでいる気がするぞっ。そしてダグラス・アダムズ的文章のなんたるかを忘れつつあるので、またH2G2を読まねばなりますまい。 ポール・オースター『ティンブクトゥ』 死期迫る放浪のへっぽこ詩人ウィリーは、自分が死んだ後速やかに新しい主人を…

It's so new!

ついのべにちらりと話を書くつもりが、なんだか読み始めてしまったのだった。2時間ちょっとかかっちゃったけどね! 羽田圭介『不思議の国の男子』 男子高生の主人公がつきあっている相手はS、自分もS。さらには2歳下であることを偽って高校3年生の彼女と挿入…

ほのぼのSFかと思いきや

おもしろいので徹夜しそうになったよ! ロバート・J・ソウヤー『占星師アフサンの遠見鏡』 恐竜の一族キンタグリオが中世ヨーロッパ風の文明をつくって暮らしている世界で、見習い占星師の少年アフサンが遠見鏡を手に入れて夜空の真実を知ったこととその顛末…