Twitterでの引用の仕方 --- あるいはもの書きであるということ
Twitterを利用する上で気をつけたほうがよいことについて、近ごろ思うところがあったので、ここに書き散らしておこうと思う。
要点は三つだ。
- 引用の四原則を守る
- 引用に関するTwitterの機能をうまく使う
- 情報の発信者に敬意を払う
当たり前に感じるかもしれないけど、意外と意識できていないことも多い。
この記事では、引用についての考え方や作法、それを通じて、もの書きであることについて考えていく。
対象読者は、Twitterを普段よく利用する人、また記事後半ではネット上でものを書く行為をしている人を想定している。
他の情報源の情報を参照すること
なにかを発信していると、なにかしら他者の言葉を引っ張ってきて自分の意見を載せたいと思うことはよくある。感想や意見だったり、主張の裏付けに使ったり。そしてそのソースは、著作や、ウェブサイトや、Wikipediaやブログや、SNSの他人に発言やら、様々だ。
そんな、他者の言葉や表現を自分の言葉や表現の中に含める行為を引用というが、そんなとき、むやみやたらとそれをコピペしていいわけじゃない。
引用には作法というものがある。引用の作法についての詳しい説明は以下のブログ
を読んでもらうこととして、ここでは簡単に四つの柱を挙げておく。
- 引用元を明記する
- 引用元の文章を改変しない
- 引用であることを明らかにする(引用とそうでない部分を分ける)
- 引用を主たる内容としない(自分の主張を主とし、引用は従とする)
これが引用の大原則だ。とっても簡単で、気をつけてさえいればいつでも実践できる。
大学などでレポートや研究論文を書くときに、引用の仕方については指導がなされたり、あるいは自分で調べたりすることもあると思う。けどこれは、レポートや論文に限らない、情報発信におけるマナーとでもいうべきものだ。
なぜマナーなのか、それは後半で述べる。
引用に関するTwitterの機能をうまく使う
日々タイムラインを追いかけていろいろなツイートを見ていると「これはおもしろいな、みんなにも見てほしいな」なんて思うことはよくあることだと思う。
でも、だからといって、そのツイートをコピペしてツイートしてはだめだ。それは世間ではパクツイと呼ばれる。そして、パクツイの対象はべつに、ツイートだけに限るものじゃない。
世間にはパクツイアカウントなるものがある。他人の、ウケの良かったツイートや画像などを勝手に、出典も明かさずにツイートする、わるいアカウントだ。他人のツイートをコピペしてツイートすることは、そんなわるいアカウントと同じことをしていることになる。これはよくない。
でも幸いなことに、Twitterには引用をしやすくするような機能がいくつも組み込まれている。それらをうまく利用することで、パクツイを避けることができる。
リツイート(公式リツイート)
いわゆるリツイート機能。
Twitterの最初期に他人のツイートを、頭に"QT"を付けて元ツイートを拡散するという使い方が発見され、使われていった。でも、それだけだと元のツイートが文字数制限のせいで切れてしまったり、あるいは改変され湾曲された情報が拡散されるということが起こった。
そこで公式に実装されたのが公式リツイート機能だ。これを使えば、元のツイートを改変することなく、引用元も明らかにした状態で、他の人に知らせることができる。
使い方は、知っての通り。あのくるっと回った矢印のボタンだ。
今ではあって当然の機能だけど、思えば、引用元を明らかにするという機能の端緒だった。
URL埋め込み
ツイートの中にURLを埋め込む(書き込む)と、ツイートにはそのURLへのリンクが表示される。そして、URLが消費する文字数はURLの文字数よりも短い。これはURLで典拠を示すためだけに文字数を消費しないようにする、Twitter社の配慮であるように思う。
このおかげで、文字数を気にせず引用ができるようになっている。
コメント付きリツイート
この機能が組み込まれたのは比較的最近だ。
他のツイートのページURLをツイートに含めるか、公式クライアントならリツイート時にコメントを付けることでこの機能を使うことができる。
この機能も文字数を多く使わないし、対応したクライアントなら、小さくツイートの内容が表示されるので、どんなツイートなのかが見た目でわかりやすくなっている。ある意味では、最初期のQTと同じ機能と言える。
in-reply-to
リプライをつけると、そのリプライ先を追えるようになっているのはご存知のことと思う。この機能はリプライしようとして@
から始まるユーザ名を消しても有効なままだ。
これをうまく使えば、自分のツイートが長くなってしまいツイートを分けたいようなとき、前のツイートにリプライして繋がりを維持できる。続きのツイートには「続きます」「承前」などの言葉を添えていると親切だろう。引用とは話がずれたけど、引用を元にツイートを展開するとき、はじめのツイートに引用元を書いて、そのあとに自分の意見等を続けていく、という使いかたもできる。
引用をするときは四原則に気を付けて、このような機能を使うことで、文字数にあまり悩まされずにパクツイ行為を避けることができる。
情報の発信者に敬意を表す
対象読者にある、「ネット上でものを書く人」に読んでもらいたいのはここからだ。
正しく引用することはマナーだ、と先に言った。でもそれはなぜだろうか。それが情報の発信者に敬意を表するという部分に繋がってくる。
情報が発信されているからには発信者がいるはずだ。けど、他の人間がその情報を出典も示さず発信したらどうなるだろう。そのような行為は、本当の発信者の労力や功績を否定する。発信された情報は発信者が労力を掛けて調べ、あるいは考えて作りあげたものかもしれない(実際発信するだけの時間は使っているはずだ)。なのに引用の作法を守らなければ、発信者の労力を無視し、功績だけを横取りするようなものだからだ。
(ちなみに、教えてもらった情報をソースを添えて周知するのはまったく問題ない)
引用の作法を守ることは、発信者を尊重することの第一歩だ。発信元を明らかにすることで発信者の努力を労い、敬意を表した上で初めて、自分の主張を発信する権利がと言える。
だけど勘違いしてはいけないのは、引用の作法さえ守っていればそれでいいわけではないということ。当然のことだけど、情報を発信したり、人にものを言ったりするときに配慮しなければならないことはたくさんあって、引用の作法はそのうちの一つにすぎない。
ものを書いているという自覚がある人こそ、こういった部分に繊細であってほしい。
ものを書くということは、それまで見聞きしたものの上に成り立つものであるから。
“私がかなたを見渡せたのだとしたら、それはひとえに巨人の肩の上に乗っていたからです。” --- アイザック・ニュートン *1