馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

ほのぼのSFかと思いきや

おもしろいので徹夜しそうになったよ!
ロバート・J・ソウヤー『占星師アフサンの遠見鏡』

恐竜の一族キンタグリオが中世ヨーロッパ風の文明をつくって暮らしている世界で、見習い占星師の少年アフサンが遠見鏡を手に入れて夜空の真実を知ったこととその顛末のお話。ほのぼのファンタジーしてるかと思いきや、以外にしっかりした考証のうえで書かれている。

通過儀礼の一つである、空に浮かぶ〈神の顔〉への巡礼の旅でそれまでの通年(というか宗教)を否定するような発見をするまでも見物だけれど、これはまだ半分。そのあとの展開が怒濤だった。アフサンは科学の進歩を第一に考えているタイプで、それがもたらす出来事やとりまく周りの振る舞いが実に、冒頭のジュブナイル感、ほのぼの感をぶちやぶってくれた。くわえて彼らの種族がもつ本能や、それを押さえ込むための習慣、しきたり、表現など練られていて世界づくりも緻密で○。いわゆる「ページをめくる手が止まらぬ」状態になった。

ちなみに登場人物はみんな、当然、恐竜つまり爬虫類たちなのだけれど、ケモナーである人間の中には爬虫類好きがいるはず! そしてそんな人たちにとっても朗報。
アフサンが童貞喪失するよこの本!!
ジュブナイル感をぶち破った最初の要素はここで、とってもびっくりした。


この作品は三部作の第一作目です。『キンタグリオシリーズ』ということらしい。どうも先が続いていそうな終わり方をするなと思ったらこれだよ! 二作目以降は未訳でございます。『獣人探偵ノハール』みたいだなあ。自分メモとして、原著の情報を書いておこう。
Robert J. Sawyer "Fossil Hunter"
Robert J. Sawyer "Foreigner"


*どうでもいいけど
"Far-Seer"で原著情報を調べていたときに見つけた。
.NETとかSilverlightでうごく物理エンジン"Farseer"
なんかおもしろいことができそうだなあっておもった。