馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

歩行祭

毎度なぜか「おんだむつ」と読み違えてしまう恩田陸に初挑戦。
恩田陸『夜のピクニック』

舞台となる高校では修学旅行の代わりに、全校生徒が二日ほとんどを歩き通すイベント、歩行祭が行われていて、今年度で卒業の男女二人の主人公がそれぞれの歩行祭をまっとうするお話。冒頭部分では「異母兄弟」とか「妊娠したうえ堕ろした」とか「(堕ろした子供の)父親探し」とか、あとがどろどろしそうなキーワードがぽつぽつ見え隠れしながらすすむ。というかどろどろを期待してた。読んでいくと案外そんなことはなく、むしろかなりさっぱりしていて中学・高校のころが思い出さるる。るるる。どろどろではなく泥泥した話だと思った。雨上がりのグラウンドを走った、泥の乾ききってない靴のような泥泥。青春である。

妹から借りて手に取ったとき、あまりの分厚さと重さにヴィっくりした。思ってたよりずっしりしていたけど、かなりさくっと読めた。男女それぞれが風景や思い出やこれからのことに思いを馳せるシーンも多くあって、書くのタイヘンだったんだろうなあといらぬ心配をした。メインストリームである「とある賭け」が歩行祭とともに進みつつ、サイドには多くの小ネタが散りばめられてた。けどこれ、すこし多くないかなあとも思った。いくつか削ってしまっても問題ないものがあるように感じた。

車の運転手が実は杏奈じゃないかとにらんでいたのだけど、結局そんなことはなかったぜコノヤロー!