馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

トースター焼きには最適の日々

本の上部を占める、待ち、そして焼けたトースターのパンを尻尾ふって食べ、眠る、そしてまた待ち……という犬のループ絵がかわいい非常に。
トーマス・M・ディッシュ『いさましいちびのトースター』

森の中の小さな別荘で暮らす電気器具たち。彼らの主人が二年以上ももどってこない。不安な生活をおくる彼ら──掃除機、電気毛布、卓上電気スタンド、、AMラジオ、そしてトースター──は主人を探す旅に出る。

本のうしろのあらすじによると、SFメルヘンなのだそう。読んだ感触としては完全に絵本だった。それも、絵があまりなく文章と話が長めな感じの絵本。あらすじだけでも「これ、SFかなあ……」と思ったものだけど、読んでますますSFじゃないと思った。電化製品がうごくし話すし、彼らは動物や植物と話をするなど登場人物のファーストクラスさ(人間以外のものが人間のように振る舞うこと。たとえば心をもっているとか話をするとか)がまさに子供むけなお話の王道を突き進んでいる。けれど、なんだかんだでバッテリがないと動けないとか、じゃあそれをどう解決して別荘から旅立つかといった部分はSFっぽさがにおってた。

書名は『ちいさなちびの仕立屋』という話からきているのだそうだけれど元ネタを残念しらなかったのだった。自分たちは不要なのでは、という気持ちを抱えて四人力を合わせていく場面がいくつかあるけれど、訳者解説にもあったけれど、『ブレーメンの音楽隊』みたいな部分だ。『ブレーメン』の動物たちはブレーメンにはたどり着かなかったけど、最終的に幸せになった。彼らもまた、期待どおりではないにしろ、ブレーメンの動物たちよりも幸せな結末をむかえることができたんじゃないだろうか。これからはものをいままで以上に大事にしていこうとおもう。もっとひろく愛着を注ごう。

ちなみに、彼らのその後がえがかえた続編があるんだそうな。その名も『いさましいちびのトースター火星へ行く』。気になる。さらにはアニメ映画化もなされたんだそうな。日本ではテレビで放映されただけみたい。これも観てみたいなあ。


.ps
試験的に、ブログの英数文字を全角にしてみた。いっつもどうしてるっけな(調べるのがめんどう)。