馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

そう、まってるから。

今回は本、というよりは絵本かな。
伊勢英子『グレイがまってるから』

注意してもらいたいのは、「グレイ」の文字をみて買ったのではないこと。手にとってみて、表紙のシベリアン・ハスキーがとてもかわいらしくすてきだったので買ったまでだ。けれどちょっと考えてほしい。この本を買った場所はブックオフの百五円コーナーである。すなわち、以下の状況が成立する。
ぼくが手にとる前、この本は本棚におさまっていた。
冒頭の主張に真っ向から反抗している。だって、背表紙しか見えない状況で表紙は見えないから。したがって「グレイ」の文字をみて(手にとりそして)買ったことになる。どっちでもいいのそんなことは。「てのひら絵本」シリーズということで、文章とともにたくさんの絵がのっている。印象にのこったことばは、文章半分挿絵半分の比率。いい本だ。スピ、スピ。

著者(文中では「絵描き」)の家にシベリアンハスキーの子犬がきてからの絵つき日記、雑記帳のような体裁で、ボールペン(かな?)で描かれた挿絵がすごくいい。動物も風景も上手だし、よこに書かれた説明やグレイのせりふがほほえましくなごやかだ。著者は絵本作家さんでもあるみたいで、マンガちっくでかわいらしくグレイを描いていることになんだか納得した。こういう絵柄の風景にぽつんと獣人さんがいたらなあ、ともちらりと考えた。
絵本作家という職業柄なのか、文章がやさしくてすこし詩的。『もくれんの後から咲くとばかり思っていたこぶしが真紅のがくからいくつもいくつも白い手を開いて空をつかもうとしていた』という文章がとくにお気に入り。花がのびのび咲いているのが伝わってくるようだった。こういうところを見習いたい。

総合すると、わんこさんと暮らしたいですということになる。ともかく、グレイの話はシリーズになっているようなので、続刊を探してみようと思った。


.ps
グレイがまってるんだよなあ。書かないといけないよ、小説を。大まかな初期配置はデザインできたと思うので、細かくしていって、かつあとあと利いてくる部分をしっかりつくれば、流れを制御できそう。がんばるしかない。頭につまってるこれらを、つまったまんまになんてしたくない。