馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

ひさびさ。

ひさびさである。
これまでに読んだ本も一部、感想を書いてあるだけど、まあそれはまた今度。

今回はめずらしくマンガ。二冊ともすごかったので。
そういえば『ツノウサギ』ってここに書いてなかったかなと過去記事調べてみたけれどなかったのできっとTwitterにたいぶ昔書いたのであろう。


福島聡星屑ニーナ』(2)
 でましたニーナ2巻。ちょうど一年の間隔で単行本が出ているようだ。正直、待てない。
 紆余曲折を1巻で経て、主人公というか主人はルイという少年にうつる。星屑の記憶の中のニーナに惚れてしまったルイは、ニーナを忘れるために旅に出る。星屑に電池をときたま送りながら。そのごルイは宇宙防衛軍(?)のパイロットになった。理由がまさかの宇宙雷魚とは。とは! 4度めにして気づき涙腺が緩くなったことを実感した。そしてそして、そのあともすごいスピードで話が進む。
 このマンガすごい。おもしろいし、タイムスケールがおおきいことがエピソード間にあったことを想像させるし、それができるだけの種がまいてある。
 さいごに。
 ニーナさんすてきすぎる。
星屑「人はなぜ眠るのですか?」
ニーナ「夢のつづきを見るためよ」
 しぬる。


柳川喜弘『ばいばい、にぃに。 -猫と機関車-』
 ソラりん(*1)がわきで寝ているときに読んだ。読後にだっこしてぎゅってしようとしたら逃げられた。いい話だった。
 あらすじ自体はベタなお話なんだけれど、細部がすごく好きだ。元ボクサーで口癖が「困る」の弐戸くん。彼の名前は、弟(次郎くんは弟分といった感じか)を失いそうなことが二度め、夢に向かっていく(帯の言葉を借りれば「もう一度だけ夢を見る」)のが二度め、というところから来てるのだろうなあ。
 世界設定は基本的ににっぽんで、地名も固有名詞もほとんど同じ。ちがうのは人間がすべて猫なこと。みんな裸足であること。そして、死後たましいは交通機関の謎の路線でガンジス川にいくこと。あと死神とエンガチョ。
 解釈。弐戸はシロウくんにりんごジュース飲ませたかったんだろうなあ。生き写しの次郎にはりんごジュースをずっと断られつづけていたけれど、次郎が自分の為にボクシングをしたことで次郎が弐戸の思いを受け取ったことになり、それが反映されてか弐戸は列車内でシロウくんに会って、りんごジュースをやっと渡せた。これから彼が二度めの夢を追いかけることの暗示なんだろう。それにしてもだんごジュースw
 余談だけど、組長が料亭で八百長試合を打診されてるとき、お酒注いでるの死神さんだよね? なぜ彼はあんなことをしているのだろうか。弐戸になにが起きるのかをリサーチでもしてたのだろう。忠告するし、ガンジス行列車が折り返しになったとき明らかにうれしそうだし。彼にとって、弐戸は生きていてほしかったのかなあ。そうだとするとなかなかどうして情に厚そうな死神さんである。

 そして書き下ろし短篇。この短篇は見事にダマされた(叙述トリック的な意味で)。違和感なく会話が流れるんだもん。それにしても、当事者になんらかの関わりがある乗り物でガンジスに向かうのか。すてき。
 息子関連のエピソードがとてもつらくて、本編で耐えしのんだ涙腺が陥落してしまった。そして、ぜったい雑誌売りのおじいさん、すくなくとも死神は見えてると予想。「切れた凧を見失った奴」は海子さんのことだろうけど、死神がなにか話しているんだろうか。死神も凧がらみのことを言っている。そして、バスでおじいさんと死神が親しそうだし弐戸に言った「死に時は心得ている」という言葉から、死神がなにかアクションを起こしてるのだろうなあ。死神は、機会がある猫にすこし手を貸してくれるような神なのかも。

 このマンガ家さんは猫に表情をつけるのがうまい。次郎くんが弐戸のことをしって驚いた顔とか、スパーリングしてるときの弐戸の顔とか、あと、次郎くんの練習風景をガラスにへばりついて見てる弐戸は個人的スマッシュヒットだった。モエス。


*1 ソラりんとはスバル家の飼い猫ではなく、スバルの飼い主。あんまり構ってくれないご主人なのでイヌスバルにはつらい。