馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

無題

読み終わったのは先週の木曜日頃ですが、時間がうまくとれずこんなに経ってしまった。
C.W.ニコル『風を見た少年』

動物たちと言葉を交わし、その中で風を見ることを覚えた少年が、ある独裁国の革命に関わっていきそれを終わらせるまでの顛末のお話。

人間が空を飛ぶというような話はだいたい、風を見るだとか、大いなる書き手にお願いするとか、物理法則から目をそらすとかいった方法が多いなあ。風を見るのは本書、大いなる書き手は『アルケミスト』、物理法則は『銀河ヒッチハイクガイド』。ぼくはこの手の飛び方が非常に好きです。心のありよう、意識の持ちようでなんとでもすることができるという考え方が非常に好き。

さて、男の子はそもそも、人の話をよくきく少年である。人がいないときは、鳥、虫、動物、風、地面、水の音や声を聞いている。その中で虫たちの声を聞けるようになり、そこからさまざまなことばを覚えていく。果ては、氷河の声まで聞こえるようになる。空を舞う生き物にどうして飛べるのかと尋ねると、風が見えるから、と答える。風を見ることを習得して、人知れず羽ばたくことを覚える。そして、にらむことでものを破壊する力を発見する。これを学者先生の前で見せることで、後の革命へと深く関わっていくことになる。ファーストクラスだなあ。