R.A.ラファティ『翼の贈りもの』
読んだのは一週間くらい前だけど、ひさびさに骨のある本だった。
SFということでクラークやイーガンのようなハードSFをイメージして臨んだところ、出鼻を挫かれてしまった。そんなためか、表題作に惹かれて買った本ではあるものの、表題作はそんなにピンとこなかった。おそらく挫かれ補正がかかっているので、もう一度読むとまた変わるかもしれない。
→評価は変わらなかった。
サイエンスというよりもファンタジーな、というよりもファンシーな(?)趣のある短編集である。どこか見たことのある雰囲気だなと思っていたら、解説では村上春樹との類似を論じていた。
そうそれ。村上春樹だ。確かに似てる。
雰囲気は、ウェルズとかヴェルヌとか黎明期あるいはそれ以前のSFにも似ている。似ているけど、何かが違う。ところどころで著者の「書くこと」に対する意識が垣間見え、きっとそこが他のSFとの差として理解されるんじゃないかと思った。
個人的には『ケイシィ・マシン』『深色ガラスの物語 ――非公式ステンドグラス窓の歴史』がすごく好きだった。ちょっと抽象的で何を言ってるのかわからない感じといい、いわゆる「小説」としての流れ(起承転結、とか)はないのに面白いと感じられる話であるところ――つまるところ構造がそう思わせるのではないかと睨んでる――といい、著者への興味は深まった。
某T.E.氏に似た雰囲気も端々に感じられてよかった。
乱暴で短くはあるが、これで感想としたい。
あと酔っ払ってるせいか眠い。