馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

我が家の世界の中心は、猫だ。

3日前に読んだ本です。
ポール・ギャリコ『猫語の教科書』


副題は『子猫、のら猫、捨て猫たちに覚えておいてほしいこと』
編集者の友人宅に届けられた、一見暗号ともみえる書類の束を翻訳したものだ。書いたのは猫で、しかも雌猫であるとのこと。解読をおこない読んだ著者いわく「いわれるまでもない。端々にあらわれる意地悪きわまりない文章はメスでなくては書けない」とのこと。

猫が安定した生活をもつためにはどうすればいいか、人間についてや猫の特性でもある魅力的な表情やしぐさ、食事の確保その他に関する人間のしつけ、といったことについて、書いた猫の経験を交えて書かれている。なかなかにするどい洞察で、人間の動物に甘い心理を描いてた。頭をすりつけてくるときはかゆいだけなのに人間ったら勘違いしちゃってこれはつかえるわよ、とか。これは、猫を見る目がすこし変わるかもしれない。もちろん、にやにやしながら。ちなみに、本書の内容は、親猫が子猫に教育するべきことであるともしている。彼女の子供は見事、本書の内容を実践することで家族を得たんだそうだ。

ソラりん(スバル家の猫。すこしおデブ)には読んでほしいけど、一部ソラりんにふさわしくない表現があるので、有害図書指定をするべきであろう。自分の好きな食べ物を確保するとか、食事のおすそ分けを得るとか、ただですらお肉がついてきたのに体に悪い。ただ、ソラも親猫のお乳をもらっていた時期が確実にあったはずで、きっとこの本の内容をいまの時代にあうように再解釈されたものを教えられているにちがいない。ソラがそれを実践していて、ぼくらはまんまと肉球の上で転がされているのかもしれない。ソラが我が家を動かしていない面もあるけれど、それはソラが単に興味がないだけなんだろう。こんな本を書く猫がいるくらいだから、ソラりんもきっと人語を理解し裏でぼくらを針のようなことばで批判しているかもしれないが、そんなものは可能世界のここではないどこかで起こっていることであるはずなので問題はない。まさか、うちのソラりんに限ってそんなばかな! ぼくらにメロメロで夢中なのに決まっているさ! もちろん、お互いにね。