馬の頭の走り書き

書いているケモノ小説(BL含む)のこと。あるいは、たまに読書日記とかプログラミングとか。

環境

読んだ本。
小川一水『老ヴォールの惑星』
これほどの作家を知らなかったとは、人生損どころじゃなく、もはや罪かと思った。
それくらいすごい。

短編集で、四編が入っています。
ものすっごくアバウトなあらすじはこんなかんじ。
『ギャルナフカの迷宮』 広大な地下迷宮に投獄された囚人たちが、疑念をはらい人としての生活を取り戻していく話。
『老ヴォールの惑星』 いわゆる「ホットジュピター」型惑星に生まれた生物たちが他の惑星を探す話。
『幸せになる箱庭』 木星を食いつぶす機械たちの主をもとめてたどり着いた、スペースコロニーを巡る話。
『漂った男』 夜もなく、穏やかで高い栄養を持つ海の惑星に「遭難」した男の話。

それぞれ細部がくっきりと描写されていますが、『老ヴォール』は特に冴え渡っています。
しっかり知識を蓄えた上で書いているんだろうなあ。
そしていま、僕の涙腺を(現在進行形で)大決壊させている『漂った男』。
おくsおっとネタバレしかけましたが、たしかに対話さえあれば狂気の手前、最後の一線は踏みとどまれそうです。
ラストがどこか、『猫の地球儀』の幽を思い起こさせて、鼻をぐじゅぐじゅ言わせている次第でございます。

それにしても小川さん、デビューがはやかったみたいですね。
ううむ、追いつこうとかそう言うのではないけど、今は地道に積み上げていって、いつか肩を並べるようなものが書けたらいいなと思います。
いつか、後何年かかるかわからないけど、ハードSFを書くんだ!

……リンドバーグ買ったら原稿書こう。